Saturday, December 22, 2012

OpenERP

OpenERPのバージョン7がつい先日リリースされました。ユーザインターフェイスを中心に諸々の改善が施されたもようです。

最近このパッケージについて調べています。以前調べた時には色々な意味で軽すぎるパッケージであるように思え、うまく業務に嵌め込める感触を持つまで至らなかったため検討をやめていたのですが、情報交換させていただいているIT企業経営者の方々より実際にこのパッケージでサービス提供しているという話を伺い、俄然興味を持ったわけです。

ADempiereと同じオープンソースのERPパッケージでありながら、純粋にコミュニティベースのADempiereと違い、こちらはベルギーのOpenERP s.a.という会社が開発やドキュメンテーションなど諸々取りまとめを行なっています。OpenERP s.a.社は「Enterprise」ユーザに対する製品保証+サポートサービスへの月額課金、およびパートナー企業へのサービス提供(トレーニングや引き合い情報提供など)に対するフィー課金といったスキームで収益を上げているようです。

プロモーション、ドキュメンテーション、品質保証、サポート等、責任をもって提供する主体があることで全体としてのプロダクトの価値を高め、ユーザを獲得し、ユーザフィードバックをもとに製品を改善する、というプロセスがうまく回せているように見受けられます。

日本ではまだまだ情報が足りていませんが、世界各国におけるOpenERPの認知度は日増しに高まっているように感じています。彼らのウェブサイトによると、世界70カ国で400以上のパートナー企業がOpenERPの導入に携わっているそうです。ここ香港にも7社ほどパートナー企業があるようです。日本での認知度が低いのは、製造元からの日本語での情報発信が全くないからということでしょう。彼らが本腰を入れて日本市場対応すれば日本でも相当数の導入事例が出るようになるのかも知れません。

もっともERPパッケージですので、ローカライズすべきドキュメントのボリュームは半端ないですし、日本特有の商習慣への対応も必要です。現地のサポート体制を整えるのにもそれ相応の投資になるでしょうし、日本市場への参入は容易でないことは確かです。

但し、OpenERPがユーザにとり「軽い」システムなのであれば、うまくやれば他のガッチリしたERPパッケージとの比較で、低コストで日本市場に入れる可能性があるとも思います。私が今のところOpenERPに対して持っているざっくりとした印象は次のようなものです。

  • 複雑なビジネスシナリオへの対応はできないケースが多そう
  • 但し対応できる業務範囲は広く、且つ部分的な導入がしやすい
  • ユーザインタフェースに注力。ソーシャル的な情報連携に強み

長短あるわけなのですが、「使える部分からお試しで入れる」ことができるのは参入障壁を大きく下げる要因となると思われます。一旦日本市場への足がかりを掴むと、その後の展開は相当速い可能性があります。ある意味Facebookがここ2年ほどで日本で相当ユーザ獲得したように。ERPですのでここまで速くということはありえませんが、中長期的には他のパッケージベンダーにとって大きな脅威になりそうな、そんな印象をもっています。

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